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 チビチリガマが破壊された。複数の人間によるものだそうだ。一人では無理、と。

 三上智恵さんの映像レポートの中で知花さんは淡々と説明していた。撮影用のライトをもってガマの中に入っていたが、その光が届かない奥深さがあった。そしてそこにも侵入者は入っていっただろうということだった。

 ガマにあったビンやカメが割られていた。
 人の歯が落ちていた。
 入口にあった「平和」と大書されたものも壊されていた。

 たぶん、夜中に、誰かが連れ立ってガマに入る。集団自決のその場所に入る。ガマはライトをかざしながらもなお暗いところを抱え込む。自分の後ろには光は届かない。ガマがくまなく照らし出されることはない。
 その光が届かない深い闇に包囲されながら彼ら・彼女らは侵入し、侵犯し、破壊行為を行う。彼・彼女らはその深い闇に目を凝らすことはなかったのか。後ろを振り向いたりしなかったのだろうか。目の前の光の中に浮かび上がったものをただ破壊していったのだろうか。

 破壊したビンやカメにそこにいた人たちを想起させなかったのだろうか。入口に書かれた文字に人間を見なかったのだろうか。ビンはただのビンだったのだろうか。「平和」と書かれた文字はただの黒い文様に過ぎなかったのだろうか。
 あるいは、彼ら・彼女らは、そこに人がいたら人を破壊しただろうか。瀕死の人がいたらとどめを刺しただろうか。

 わからない。

 失われたのはそこにあるモノに人間を透視する想像力だったのだろうか。それともそこに人間を見ながら、彼ら・彼女らの敵を破壊し、殲滅したのだろうか。

 2014年ガザ侵攻時だったか。夜のイスラエル軍の激しい空爆がガザの上空に光る。それをビールのジョッキを片手に指差し、笑い声を上げながら見物していたイスラエル人の青年たちの姿があった。
 南京で切り落とした中国人の首をぶら下げて微笑む皇国ニッポンの兵士の写真。
 国会で薄ら笑いを浮かべ答弁に立つ安倍首相の顔がそこに重なる。

 その荒廃は恢復しうるものなのだろうか。

 先日の夜、居酒屋の前で同僚を待っている5,6人の勤め人がいた。その同僚が上手く発音できない音があることを楽しげに笑っていた。その笑いが彼らの間で共有され、親密さを作り出していた。その人がいないことをいいことに。そしてたぶん、本人がきたら何もなかったように、普通に談笑するのだろう。その談笑が恐ろしくてならない。
 よくありがちな光景ではある。
 彼らが例えば「チョーセンジンが…」とか「シナ人が…」と言っていてもなんの不思議もない。そんな空気感。

 いたたまれない。そしてふと自分も同じことをしているのではないか、と恐ろしくなる。あるいは、もしそうした言葉が飛び出していたら、私は止めに入れただろうか、と思う。


 祖父のこと。二度の徴兵、7年間の中国戦線での従軍、そして二等兵から曹長への昇進。少しは「武勲」があったのだろうか? あったとしたらいったいどのような?
 彼は戦時中のことをしゃべらないまま亡くなった。私も自分から聞こうとはしなかった。語りたくないことがらだったのかもしれない。
 幾人かの中国人を殺したのだろうか? もっと多かったのだろうか? あの首をぶら下げて笑っている皇軍兵士は祖父そのものだったのかもしれない。ほんの僅かな偶然で、私は生まれず、私ではない中国の誰かがいまこの世に生きていたのかもしれない。生命の流れを幾筋も途絶えさせたのかもしれない。少なくともその仕組を動かす中に祖父はいた。そのことは祖父の中に語りえない世界を生み出したのではないかとは思う。

 戦争は人間を荒廃させる。そして荒廃した人間が戦争を加速させる。
 1923年の関東大震災と朝鮮人虐殺は極めて大きなことだっただろうと思う。あの時、首都圏一円で日本人は「朝鮮人」とみなした人々を敵として殺した。その8年後には中国東北部への侵略が始まる。そして南京につながる。23年9月1日は日本人の中にも極めて重大な傷を残したのだと思う。国内で「朝鮮人」とみなした人々を殺して、中国への侵略と戦争、南京での虐殺、人体実験…はその直接の延長線上に当然のように起こるのではないかと思う。

 安倍、麻生、小池などをはじめ、政府の中枢から、社会のあちらこちらにいたるまで、戦前、戦中からいまにいたるまで続く清算されないものが、より大きくなって顔を出していることを身体で感じる。
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