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"A World Apart"(「ワールド・アパート」クリス・メンゲス監督)をみた。時々見る。

ずいぶん以前のことだけれども、劇場でみて、その後、レンタルビデオでもみた。
その後、もう一度見たいと思ったが、Amazonでも入手が難しかったし、何よりもVHSのテープしか発売されておらず、もし入手しても再生することができなかった。もう二度とみることができないかと思っていたが、検索をしていくとアメリカでDVDが出ていることがわかり、輸入DVDを手に入れた。
一応、英語の字幕があり、ストーリーはわかっているから、見ることはできる。

南アフリカ、アパルトヘイトの時代。
1963年ごろだ。シャープビル事件があり、アフリカ民族会議は非合法化され、反アパルトヘイト運動に対して、暴力的な弾圧体制が作られていた。ネルソン・マンデラが捉えられたのもこのころだったのではないだろうか。

実話に基づいている。
映画の中での名前は変わっているが、主人公のダイアナ・ロス(バーバラ・ハーシー)は、ルース・ファーストという女性がモデルになっている。ウィキペディアに項目があった。

Ruth First (May 4, 1925 – August 17, 1982) was a South African anti-apartheid activist and scholar born in Johannesburg, South Africa. She was killed by a parcel bomb addressed specifically to her in Mozambique, where she worked in exile from South Africa.

 
彼女が暗殺された6年後、この映画が撮られた。

主人公の娘の目を通して描いたアパルトヘイトとそれへの抵抗の姿ではある。
『遠い夜明け』も見た。けれども、何度も見ようと思ったのは、この「ワールド・アパート」のほうだった。なぜだろう?

はじめてこの映画を見た後、最後のシーンに流れる音楽を探したことがある。
「神よ、アフリカに祝福を」。讃美歌なのだそうだ。
『遠い夜明け』でもスティーブン・ビーコの追悼集会で歌われる。映画「アマンドラ! 希望の歌」でも聴くことができる。けれども、なぜか、私にはこの「ワールド・アパート」での歌が最も強い印象を残している。

ダイアナ・ロス=ルース・ファーストの家族、特にその長女の目を通して描いたからではない。たぶん、印象の強さは、南アフリカの監獄の過酷さとそこから反転する力を感じたからのように思う。
アパルトヘイト=人種隔離政策は、街頭で、居住区で、あらゆるところでその猛威を振るった。アフリカ民族会議(ANC)やパン・アフリカニスト会議(PAC)の抵抗も徐々に追い詰められ、抵抗拠点を国外に移していくことになる。けれども大半の人々は南アフリカを、居住区のソウェトを脱出することもできず、アパルトヘイトの暴力にさらされ続けることになる。
 
何かあると催涙弾が撃ち込まれ、ゴム弾と警棒がうちふるわれ、そして時には実弾で射殺する。
しかしアパルトヘイトを支える暴力はそれだけではなく、その国家の深部に存在した監獄の過酷さがあった。
何人が自殺として「処理」されたことだろう。多くの政治犯が収容されていたロベン島はまだましだったのかもしれない。裁判もなく、警察の判断で繰り返し逮捕し、拷問にかける。裁判を受けることもないから、それが表だって争われることもない。
その姿を『ワールド・アパート』はとらえている。

ダイアナ・ロス=ルース・ファーストは、まがりなりにも暗部から生還した。
そしてもう一度、そこに引き戻されることも辞さず、友人でもあり、同志でもあったソロモンの葬儀に出かける。娘のもりーと一緒に。
葬儀に人が集まる。抵抗のアジテーションが響き、「神よ、アフリカに祝福を」が歌われているとき、警官隊がおそいかかってくる。そしてラストに投石する黒人のシルエットが浮かび上がる。

国家の、アパルトヘイトを支える暗部から、抵抗へ。その眩しさと歌が一つの高揚をつくりあげていく。


きっと本当にこのような光景が何度も何度も、あちらでもこちらでも繰り広げられてきたのだろうと思う。
それは南アフリカだけではなく、パレスチナも同じだ。


やっと見ることができた。
『神よ、アフリカに祝福を』を適当な音で一緒に歌う。
力をもらう。
端的な力だ。


それにしても、この映画をDVDにすることはないのだろうか。
英語版で見ることはできるし、字幕もあるが、南アフリカの人々がしゃべっている日常語はまったくわからない。英語の字幕もない。確か、日本語版では、この部分も字幕があったように思う。
何とかならないのだろうか。


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ワールド・アパート
「ワールド・アパート」中古のビデオを購入して、やっと見ることができました。

南アフリカで反アパルトヘイトの活動をした白人のことを知ることができました。とても貴重な作品との出会いに感謝です。日本ではDVDが発売されていない?のが残念です。
ETCマンツーマン英会話 URL 2014/06/13(Fri)18:13:06 編集
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