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since 2007 10 24  読み書き、見聞き、したもの。など。 twitter https://twitter.com/takagi_toshi
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 パレスチナ情勢が急激に変化している。第三次インティファーダという言葉がパレスチナで飛び交っている。イスラエル軍が無防備な人々を取り囲んで銃撃している。入植者がパレスチナ人に襲いかかっている。抵抗の石つぶてが飛ぶ。銃口にさらされながら、ほとんど捨て身で、ただの石を投げつける。この1週間ほど、そうした状態が激しく進行している。


 そのさなかに、ジャズピアニストの上原ひろみが11月16日にイスラエルのテルアビブでコンサートをするらしい。そのことをイスラエルのボイコットを訴えているパレスチナの人から指摘された。
 衝撃だった。
 少し調べてみた。
 あまり詳しくわからなかったが、結構、イスラエルには行っているみたい。これが5回目以上。もっとずっと多いかもしれない。イスラエルの音大みたいなところのマスターコースでレッスンしたこともあるようだ。以前にもイスラエル音楽祭で演奏をおこなっている。その時は参加の訴える公開書簡が出されている。
 最近はあまり聴かないけれども、彼女のCDを何枚か持っている。DVDももってるな。ピアノソロの演奏でときどきハッとすることがある。とてもライブが好きで、ライブの場所、そこに来てくれる人たちをとても大切にしている、どこか無垢な感じがするプレイヤーだと思う。
 テルアビブか…
 そういえば村上春樹をもう決して読まないと心に誓ったのは、エルサレム賞の受賞とそのスピーチが直接の原因だった。
 激しいガザ侵攻にあわせたようなエルサレム賞の授賞式に出向き、市長と握手したことも認め難かったけど、その際スピーチで、「自分は小説家として自分でみたもの、自分で触れたものしか信じない」というようなことを言った。
 村上春樹のエルサレム賞受賞と、そのためのイスラエル訪問には強い批判と反対の声があった。村上春樹のスピーチはそうした批判や意見に対して、エルサレムまで行くことの正当化の論理だった。「自分の目で見るのだ」と。そのためには行くべきだ、と。
 けれども、彼は「世界は隠喩だ」としてきたはずだ。隠喩的世界として彼は小説世界を作ってきたはずだと思った。
 彼の言葉は、彼自身の小説を裏切るものに思えた。あなたは自分の目を本当に信じられるのですか、目に映るものが本当に真実なのですか、自分が触れたと思ったものをそれほど簡単に信じられるのですか? そう聞きたかった。そして世界はそれほど簡単に目で見て、手で触れることができるのですか? 目には映らないものを、手では触れらないものを、大切にしようとしてきたのではないですか、そのためにこそ世界は隠喩だったのではないのですか? そう思った。
 そもそも彼はエルサレムに行った。自分の目で見るといった。
 ではその時、彼はガザをみたのだろうか?あのガザへの攻撃を、その生み出した廃墟や瓦礫の山を、こびり付いた血痕や傷をおった人々を、誰かの葬儀を、泣き崩れ、叫ぶ人々を、出口のない憤りを、せき止められた悲しみを、そのガザに立ち込める匂いを、ざわめきを、砂埃を、彼はみたのだろうか? 彼は触れたのだろうか? それならまだしも彼の言葉に一片の真実はあったと言えるのかもしれないけれど…
 もう一つ。1948年以来生き抜いてきたパレスチナを、さらに大国の政治交渉などにはもう頼ることはできない、自力で戦うしかないと覚悟をして蜂起してきたパレスチナを「壁=イスラエル、弱く割れてしまう卵=パレスチナ」と比喩することにも違和感を持った。
 「強いもの」がただ強いのか? 「弱いもの」がただ弱いのか? それはあなたの小説に見える世界とは違うのではないのですか? 『羊をめぐる冒険』や『ねじまき鳥クロニクル』を書いたあなたに世界はそんなにも平板にしか見えないのですか?
 私にはそうした彼の言葉が、ただエルサレム賞を受賞する、その授賞式に出るための「正当化の論理」にしかみえなかった。ただその程度のことのために自分の小説を、彼は否定したのだと思った。
 そして村上春樹の本は読むことをやめた。作家や芸術家の政治的スタンスだけで作品を拒否することは私の流儀ではないけれども、でも、彼の言葉が彼の作品を否定したように思えたからだ。まぁ一人の読者を失ったところでどうということもないだろうけど。
 いまもう少し違う感想もある。
 彼は確か授賞式に出たあと、自分への批判について「正論原理主義」と述べた。何か、正論を振りかざして、力で押し付けてくるような捉え方をしていたように記憶する。
 世界が倒錯している。転倒している。
 彼がそう言いたくなることが理解できないわけではなかった。自分が真っ白で、純潔無垢で、あなたは堕落し、極悪非道である、そういうような空気の批判もあったと思う。私だってこう書きながら、自分の国と政府がパレスチナではなく、いまやイスラエル政府と結託していることを知っている。その現実を覆すこともできず、その現実を拒否しようとしながら、その内部に存在していることの自覚はある。純潔無垢なんかではありえない。
 だからこそ彼には受賞を拒否してもらいたかった。拒否なんて格好いいことしたくないなら、打診された段階で断ればよかった。
 彼にはそうした批判が正論を力に任せて押し付けてくるようなイメージがあったのだろうと思う。けれども、世界全体からすればその声は圧倒的に少数派なんですよ。微々たる声なのですよ。あなたの読者の大半はきっと受賞おめでとうと言っているのですよ。そして「政治とブンガクをアンイに結びつけるべきではない」なんて思っているわけです。その批判者たちがあたかも権力でも握っているかのような転倒したイメージを彼は持ってしまっていたのだろうなと思う。そして「力には屈しない」みたいにちょっと思っていたのではないだろうか。
 これは何の根拠もない私の推測×憶測ではあるけれど。
 それまで多分、ほぼすべての作品を読んできたはずだけれども、読むことをやめた。それから一切彼の文書は読んでいない。次に読む時は、そうした村上春樹がいったいどこに行ったのかを吟味したいと思った時だろう。 


 さて、と。
 上原ひろみかぁ。彼女には目の前の生きた観客がとても大切なのだろうとは思う。DVDなどを見ていると、そうしたことはヒシヒシと感じる。
 だから何度も足を運び、教えたこともあるイスラエルでのコンサートは彼女にとって大切なものなのだろう。そこに大切な人もいるのだろうと思う。
 けれども、やっぱりイスラエルでのコンサートはやめてほしい。
 コンサート会場のその向こう側に、家を奪われた人たちが、10歳とか13歳とかで逮捕されるような子どもたちが、いることを想像してもらいたい。たった一人でイスラエル兵に取り囲まれ、そのまま銃撃された学生がいることを想像してほしい。どういう経緯で何度もイスラエルに行くようになったのかわからないけれども、知らないでは済まないことだろうと思う。欧米のミュージシャンには実際に、イスラエルでのコンサートを拒否する人たちもいる。
 度重なるガザ侵攻で精神的に傷をおったイスラエルの若者たちもいる。イスラエルはイスラエルでいたるところに傷を負っているとも思う。あなたのコンサートに来る若者にもそうした人たちはいるだろうと思う。
 彼らを癒やさないでほしい。あなたの音楽で励まさまないでほしい。
 もし侵略、占領、抑圧で逆に傷をおったイスラエルの青年がそこにいるなら、彼は、パレスチナの人々から許されること以外には癒やされることはないのだと思う。
 "Place to Be" という彼女の曲がある。久しぶりに聴いてみた。美しく、安らぎに満ちたピアノ・ソロだ。
 「いるべき場所」。自分がそこに属していると感じることができる場所、帰ってきたと思える場所。あなたにとってとても大切な、そういう場所。
 けれども、そうした場所を、あなたが大切にしているような場所を、それを何十年も奪われている人たちが、その隣にいるのですよ。
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Poll No. 191

Dr. Kukali: “The PA-President Mahmoud Abbas (Abu Mazen) enjoys the satisfaction of his people in Gaza Strip with his performance”.

The key poll results are:

(61.2%) of the Palestinians oppose the deployment of UN-multi-national forces in Gaza Strip.

(54.0%) are satisfied with the performance of the PA-president “Abu Mazen”.

(64.7%) rated the stances of the UN Secretary-General Ban Ki-moon as “negative”.

(88.9%) support the firing of rockets from Gaza at Israel.

(58.1%) are content with the ICRC performance,

(71.2 %) with that of the UNRWA.
(75.4%) believe that the deterrence of the Palestinian Resistance has increased.

To download the entire poll, in English, in Arabic
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